海から東の方へ、果樹園や葡萄園の続く丘を縫っていくと鼠色した石灰岩の壁があります。これはカルスト地域の端に当たり、
約100mの高さの急勾配の岸壁で、気候学上、そして地質学上の境界線を成しています。
これらの岩を眺めるのに最適な場所はオスプという村です。
チェルニ・カル(地図A4)という峠を越して高原に出ると、地中海の穏やかさから取って代わって、岩石の壁があちこちに続き、灰色がかった緑色の風景が続く。これがカルストです。
この特殊な風土についてはおおくに自然科学者が調査研究、報告を続けており、石灰岩が雨水にとけて形成する珍しい現象はカルスト現象となずけられています。
これらの現象のスロヴェニア語は国際語彙となっています。
実は、スロヴェニアの土地の半数近くが石灰岩、つまりカルストです。
この狭い地域に、いままで6000以上の洞窟が発見されており、そのうち3つは1000メートル以上の深さに及びます。
しかし、旅行者が立ち入ることができるのはこれらの洞窟のほんの一部です。スロヴェニア国内で旅行者に開放されている洞窟のうち
最古(世界最古?)はディヴァチャ(地図A4)近辺のヴェレニツァです。この洞窟はすでに17世紀前半に内部見学のための入場料を取った記録があります。
最も有名な鍾乳洞はシュコツィアンスケ・ヤーメで、1986年からユネスコの世界文化自然遺産に指定されています。
地滑りによって形成された2つの谷を流れるレーカ川(地図A4)は、このシュコツィアンの洞窟群へ流れ込んで地下へ消えて行きますが、
ここで、このレーカ川は全長約2.5キロメートル、高さ130メートルという世界でも最大の地下峡谷を流れているのです。
もう一つの珍しいカルスト地域は、リュブリャーニツァ川(地図B3)です。この川は、氷河期には地上を流れていましたが、その後カルスと現象の
影響で地表では切れ切れになりながら、地下では一本の流れに成り、リュブリャーニツァ川につながっています。
また、数々の鍾乳洞の中でも特に興味深いものは、発見されて以来すでに700年以上経ち、世界的に有名な
ポストインスカ・ヤーマ(ポストイナ町)(地図B3)です。
ツェルクニシュコ・イェゼロ(地図B4)の名も良く知られています。これは、リュブリャーニツァ川系の、時期によっては水で覆われる
カルストの野原です。1年の半分はここに湖が有り、魚釣りをしたり、冬の凍った湖面でスケート遊びをしたりできます。
春のある日、湖水が地下へ吸い込まれはじめ、その後には夏の間農家の人々が草を刈る牧草地と成ります。この「水の消える湖」は古くから知られ
、「ツェルクニシュコ・イェゼロ」の名がカルスト地形の「消える湖」の代名詞となりました。
カルスト地形の地下に棲む動物たちは、太陽のない世界に巧みに適応しています。最も知られているのは、ディナル山脈の
カルスト地域に限って生息する「Proteus Anguinus」で、スロヴェニアの自然科学のシンボルになっています。
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